ASH INSTITUTE Blog

ガラスの見積もりが高い



やっと出てきたフロントウインドー用の合わせガラスの見積りが高いです。
予想の約2倍くらい。
しかも成形品の単価もうんと高い。
製法は従来取りの重力式だし、成形型などに関してはしょうがないにしても、
成形品の製品単価が高いのは色々ときついです…。

見積りにこれまでに見たことのない項目もあって、それも結構な金額なので、
この新たな項目の件も含めて、全般的に内容を先方に聞いてみると…、
まぁ色々あるのですが、要は以前私が取引していた頃の価格が安すぎて、
どうにも商売にならないくらいなので、もうそういうことにならないように
安全をみて、新たな項目まで追加して、こんな数字にしているように思われます。
ううむ…。
ちなみに、以前私がよく相手をしてもらっていた担当者は、安請け合いして
あとで会社が困らないように見積り禁止にされているらしいです。ww

この元担当者、もう停年をとっくに過ぎている年輩の方なのですが、
ある意味クライアントからの信頼が厚くてまだ仕事しています。
性格的に非常に癖があってとっつきにくく、経験が少ないうちは苦労させられました。
気が強いし、修羅場をくぐった回数が半端じゃないので、若造が言う事など
まず聞いてくれないのですね。何か依頼しようとしても、専門的なことで
色々突っ込まれて、そんなんじゃダメですよ!何にもわかっちゃいないな…、フン。
みたいな感じで、まぁ泣かされました。^ー^;

ですが、この方のいいところはどんなことにも非常にポジティブで、
まず、出来ないとは言わない。絶対言わない。ww
見積りもややラフですが非常にリーズナブルな金額で、
しかも超厳しい希望納期にもこたえてくれる。
彼の会社にしてみたらたまりませんわな。ww
実際、彼の営業トークと見積りのせいで、彼の部下や同僚たちはかなり苦労して
いたようで、後に彼の会社の人から、
「彼の口からは出来ないとは言いませんが、彼が難しい…と言ったら、
それはできないものだと思ってください。 (;`・ェ・) 」
とはっきり言われました。ww。

そんなものですから、彼のこたえてくれようとするその心意気に反して、
(最初に約束した)納期に間に合わないこともあります。
約束の日に届かなくて困った私が問い合わせると、
「いやぁ、思ったよりも難しくて、何度も失敗しちゃいまして…、
今曲げてんですけどね、炉の中に入って、ええ。
もうじき出来ますんで待ってて下さいよ。夜には届けますよ。
プレゼンは明日なんでしょう?じゃぁ、もうちょっと待ってて下さいよ、
必ず届けますから。ええ。(; ̄ー ̄) 」
なんて感じです。
で、その夜にも届かず、ww プレゼンの朝になってもなかなか届きません。
もうダメかと思うような頃、プレゼンの1時間前とか30分前とか、そんな頃になって
やっと納品に来て、クライアントに対する言い訳というかお詫びの言葉を具体的に
考え始めてた私は、ww しょうがないので、何とかうまいこと言ってクライアントに
待っててもらって、その間に現場でマッハで仮トリミングして仮接着して…、
なんてこともざらで、それこそ生きた心地もしないようなことが、2度や3度じゃ
ありませんでした。

彼が若い頃は、同じようなことを、ホンダの開発部でも何度かやらかしてたそうで、
ホンダの皆さんがお待ちかねのところに、彼が出来たての試作ガラスを持って行き、
ピリピリした本田壮一郎さんはじめ役員の方々なんかが見てるところで、
いい感じで組み付けたというような話は、複数の関係者から聞きました。ww

そんな危なっかしいところに発注しないで、他に発注すればいいのに…
と思われるかもしれませんが、本物の自動車用ガラス(しかも自由曲面)の試作品を
頼めるところ自体限られていますし、かなりややこしい形状のものも頑張って成形して
くれるんですね、ここは。価格、納期、成形の難易度…、色々考えてみても総合的に
こんな内容で引き受けてくれるところは他にありませんでした。

そんなきわどいことを何度もやっているもので、けわしい言い合いになったり、
気をもまされることもしばしばでしたが、どちらも好きな仕事に関わっている
という事からか、プロジェクトをひとつ終えるごとに段々と仲良くなって、
色々と良くしていただきました。

その彼もいよいよ第一線を外され、ww
これからはこの高い見積り…、
いやまっとうな見積りに対応した仕事をするしかありません。
さみしくて厳しいです…。

2012年07月13日(金) No.128 (ミッドシップ スーパースポーツ IF-02RDS)
Comment(0) Trackback(0)

この記事へのコメントは以下のフォームからどうぞ

Name
E-Mail
URL
感想
500文字まで
Icon Icon
投稿キー 投稿キーを右に記入して下さい
Pass

この記事のトラックバックURL

https://ash-institute.cats.st/cgi/diary/sfs6_diary/sfs6_diary_tb.cgi/20120713128
No. PASS

       
   














ASH INSTITUTE Blog