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モモの最期の声



家内がかわいがっていた猫のモモが亡くなったのは先週の土曜日、5月11日の昼頃。
家内はパートに、私は珍しく県外出張が入り出かけていた最中のことでした。
午後3時くらいに帰ってきた私が玄関のドアを開けると、
ドアのすぐそばに横たわり、動かなくなったモモがいました。

遅かったか…。
おなかのあたりにそっと手をあてて動いていないか確かめます。
やはり動いていません。
体中をなでてみますが、反応はありません。
瞳孔も開いて真っ黒だし、体温もすっかり無くなっています。
間に合わなかったんだな…。ごめんな。

ある程度覚悟はしていましたが、どうして私も家内もいないこのタイミングで…。
看取ってやることができなくて、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
朝、行って来るよ、待っててな、と声をかけたのばかりだったのに。
早すぎる…。

あきらめきれない気持ちと、かわいそうなことをしたという気持ちと…、
色々な気持ちがグルグルと頭の中を回ります。
グルグルしながらも、ここじゃあんまりかわいそうだから、やわらかくて暖かい所に
移してあげよう、そう思って、モモがお気に入りだった籠にブランケットを敷いて、
そこに寝かせようと抱き上げた時です。

“ニャ〜ン”
え?!モモ、鳴いた!!
空耳などではなくはっきりと聞こえました。
妄想やオカルトチックな事ではありません。
もしかしてまだ息があるのか?
驚きながらいろいろ確認しますが、やっぱり明らかに亡くなっています。

考えられるのは、抱き上げた時、まだ死後時間があまりたっていないのか、
生前のように柔らかかったので、抱き上げる時に胸が圧迫されるようになり、
肺にまだ残っていた空気が口から出て、それが喉を通る時に声帯をふるわせ、
声になったのではないかということです。
ちょっと力はありませんが、具合が悪くなる前のような普通の声でした。
その後も、体を拭いてあげようと持ちあげた時、もう一度、小さくニャァと鳴きました。
それがモモの声を聞いた本当の最後になりました。

モモは体に似合わず、かわいい声でした。少なくとも今うちにいる2匹の
女子達(どちらもちょっと残念…)よりもずっとかわいい声です。
そのかわいい声を最後に聞かせてくれたわけです。
間に合わなかった私に。

モモと過ごした時間は、今思えばごく短いものでしたが、すごく楽しくて幸せでした。
自分の気持ちに区切りをつける意味も込めて、家内が撮った何枚かの写真を並べ、
いろんなことを思い出しながら、この日記を書いています。



モモが入退院した頃のことを他のSNSで短く書いたのですが、それらに加筆して、
経過を書き連ねてみます。

昨年の秋頃から、うちにあまり来なくなっていたモモでしたが、最近近所で数回見かける
ことがあり、モモなりに新しい場所を見つけて元気にしているんだなと思っていました。
それが、ある朝、路上にうずくまるモモを見つけて、様子がおかしいことに気がつきました。

・先日路上で倒れこむモモ発見、即保護、本日朝病院へ連れていき、
 注射3本うってもらって、今うちの玄関で静養中…。


・今朝もモモを病院に連れて行って注射を2本うってもらった。
 医者の見解では昨日よりも改善しているというが、あまりそう見えない。
 早く良くなって欲しい。見てるのがつらい…。


※この間、夜になって後ろ脚がうまく動かなくなってきて、痛むのか鳴き出す。
  何が起きているのか、症状で検索してみると、かなりまずい状況かもしれない、
  という事で夜間救急動物病院へ。獣医の見立ては検索結果とほぼ一致。
  この子はまだ若いから回復してくれるかもしれません…、
  獣医の言葉にモモの容体の深刻さがうかがいしれます。
  可能な処置をしてもらい、そのまま夜中預けて、翌早朝5時半に引き取りに。
  その朝、かかりつけの病院が開くのを待って、1番に見てもらう。
  救急病院から状況を説明するメールが入っていて、獣医は待っててくれました。
  そこでまた血栓を溶かす薬やら心臓のための薬やら注射して、輸液など色々処置して
  そのまま入院。獣医からモモの今の状況や今後の予想を説明されて、悲しくなる。
  だが2日後、獣医から連絡。快方に向かっている。食欲も出てきて自分でご飯を食べる。
  この様子なら本日夕方お返しできる。(!)という嬉しい知らせが来る。
  予想外にいい知らせが、予想外に早く来て大喜び。  

・モモが帰ってくる!嬉しい。良かった。ほんとに良かった…。

・猫風邪で治療…と思っていたら下半身マヒが出て、あわてて夜間救急病院に連れてったら、
 想像以上に深刻な状態で、最悪、足切断とか言われて、大きくショックを受けましたもので、
 今日、入院先から「元気が出て、食欲も出てきたので今日お返しできます。」と連絡が来て、
 本当に良かったです。あぁ良かった…。


・モモなんてそんなにかわいくないし、正直そう思ってました。
 ガチムチ体系で、ドスッとしてて表情もふてぶてしくて、まぁおおよそ私の思うかわいい猫とは
 かけ離れているなとww


・それが、路上でフラフラと倒れるところを偶然発見し、急遽家に入れてお世話してたら
 下半身がマヒし、あわてて救急病院に行って診てもらえば、あんな絶望的というか悲観的な
 診断を聞かされるし…、なんかもう、ものすごくかわいそうになってきて、
 一緒にくっついて寝てかわいかったな、散歩についてきてかわいかったなと、
 一昨日の出張時は車を運転しながらポロポロ涙が…。




入院先の病院からの連絡で、退院できると聞いた時は飛び上るほど嬉しかったです。
ああ、助かったんだ。これでまたモモと暮らせる。
たとえ後ろ脚にマヒが残ったとしても、それで性格が少し穏やかになって、
家の中で他の猫達と過ごせるようになってくれるなら、それも悪くないかな、
そう思いました。

家内がパートから帰るのを待って、一緒に病院へ。
すごく嬉しくて、信じられないような気持でした。

病院で獣医から経過と今の状況の説明を聞き、丁寧にお礼を言って、
モモと一緒に帰ってきました。

かわいそうに、病気になっちゃったなぁ。
もう外で暮らすのは無理かもしれないから、これからはずっとうちでお世話していこう。
そう思ったんですよね、その時は…。



モモがうちに来始めた頃、家内がこの猫をかわいがる理由がわかりませんでしたがww
なついてくれて、そのことがこんなに嬉しくて、だんだんかわいく思えるようになって、
すっかりお気に入りの猫になってしまっていました。

モモを最初から最後までかわいがって、沢山の写真を撮っていた家内は、
もうモモフォルダが増えることは無いんだなと思うと悲しい、と。
ああ、そうだなと思います。

亡くなった時のモモの顔は案外穏やかで、それほど苦しまずに済んだのかもしれないと
思いました。目を閉じてあげたら、普通に眠っているようです。
モモにしては随分顔が小さくなって、まるで普通の猫みたいです。

もうモモは動かない足に歯がゆい思いをしたり、痛みに苦しむことはありません。
苦しそうなモモを見て、かわいそうに思っても何もできなくて辛くなることもありません。
私も家内も、もうモモのことを心配する必要は無くなったわけです。
望んだことと違うとはいえ、そう思うと良かったとも思えます。

でも、一緒に遊んだり、くっついて寝たり、かわいい声を聞いいたり、なでてあげたり…、
そういう事はもう二度とできないんだと思うと、たまらなくさみしくて、悲しくて、辛いです。
追いかけっこしたり、猫ボーリングしたりして、楽しかったな。
また一緒に遊びたかったな。 そうできると思ったのにな…。

さようなら、モモ。






こんな小さな白い壺に入ってしまった…。

2013年05月15日(水) No.524 (猫、動物、蝶、風景、写真)
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