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オークションの落札者 [車の売買 前篇]



2010年6月3日夕方、その人は車屋を営む友人と二人でうちに来てくれた。
私はそのひと月ほど前の5月に、それまで長い間乗っていたBMW635CSiをオークションに出品した。
とても好きな車で、ずっと乗るつもりで購入したものだったのだが…。古くなって色々なところが
くたびれてきて、ずっと面倒見てもらっている専門店に持ち込んだところ、そこの社長(経験豊富な
腕のたつメカニックでもある)から、いくつかある要修理ヶ所はどれも直せないわけではないが…、
このまま廃車という選択もありますね。と言われた。通常の中古車市場ではもう価格がつきにくい
ということだ。ああ、そうか、そんなものなのか…と正直ちょっとショックを受けた。
元々この社長がこの年代のBMWが好きで始めたお店で、635は主要取扱車種だった時期もあり、
言いにくそうだった。

色々考えた結果、好きな人に巡り合えたら幸運、と思ってオークションに出してみることにした。
開始価格:10,000円、希望落札価格:100,000円と、かなり割安に設定したせいか、
出品早々アクセスがあり、ウォッチリストにいくつか追加されたと思ったら、
すぐに希望落札価格で落札されてしまった。
あんまり早く落札されてしまって、変な感じにちょっとがっかりしたくらいだった。
もう少し経過を楽しみながら見ていたかったのに…。
長年世話になった専門店でああ言われ、色々考えて自分は降りると決めた車だが、
この車でこの状態でこの値段なら、自分で言うのもなんだが、間違いなく買いだと思う。
もしもこれに乗っていなかったら、入札していたかもしれない。いやしてたな、絶対。(; ̄ー ̄)

で、落札者と連絡を取り合うことになるのだが、それにちょっと時間がかかった。
連絡しても返事が無い。
返事を待つ間に、相手のIDで検索すると、別のオークションで取引していることもわかった。
連絡をとぼけて後回しにされているわけだ。嫌な気分になった。
数日後、メールではなく電話があり、ようやく現車確認/引き取り日時を決めることができた。
電話での感じはややラフな感じはあるが、そう悪い感じでもなかったし、
やっと連絡が取れたことで安心できた。

だが、事はそのまますんなりとは進まなかった。

普通の中古車市場ではもはや無い物のような悲しい扱いをされてしまうとはいえ、
こういう車だから、数は少ないが好きな人は本当に好きでいてくれるようで、
オークション終了後にもいくつか問い合わせがあった。
その中には熱心に、自分がどれだけこの車を好きか、熱を込めたメールをくださる方もいた。
私もそういう気持ちはよくわかる。
その中でも、特に感じのいい一人の方に、
“もしも落札者の方が現車確認で気に入らなかったら連絡しますね。(;^ー^)” と伝えた。
その方からの返事は、
“ありがとうございます!感謝します!!(*^ー^)ノ” みたいな感じで、
あぁ、こういう人がいるんだよなまだ、この車には…。とあらためて思った。

さて、落札者との約束の当日になるのだが、その日の早朝というか明け方にメールが入り、
“急に都合が悪くなり、今日は行けなくなった。” とのこと。
たまたま私がそんな時間に起きてて見たからいいようなものの、うーむ…である。
またいやーな気持ちになったが、仕事で急に都合が悪くなることもあるだろう、
どんな仕事か知らないが…と、嫌な気持ちをおさえて次の約束をした。

で、その2回目の約束の日もまた軽くドタキャンされた。
これはもうダメだな。
こういう人にこれ以上かかわるのは良くない。
そう判断して、今回の話は無かったことにしてほしい、というメールを送った。
そうしたらメールの返事ではなくて、電話が来た。
そんなことを言わずに譲ってほしい。どうしても欲しいので。
自分は落札者だから権利があるはずだ、云々…。
他にもいろいろ何だかんだ言っていたが、こちらとしては約束を守れない人、
きちんとした対応ができない人を信用して車を渡すことは出来ない。
そう言って突っぱねた。
そうすると、ものすごく好きでずっと探してたとか、今度は泣き落としにかかる。
こちらとしては、そんなに好きなのに、最初の連絡ですぐに返事をせずに
他の取引をしていたのが納得できないので、そのことも言った。
(最初はこれは言うつもりはなかったのだが、あんまりしつこいので)
それでもしばらく食い下がってきたが、とにかくあなたには譲りたくない。
そうはっきり言った。何度か言った。
加えて、またいいのが出ますよ、きっと。とか、なだめすかすようなことも言った。
うんざりしながら何回か同じようなやり取りをして、ようやくあきらめてもらえた。ふぅ…。

これでやっと先日メールをくれた方に連絡できる。
全く無駄な時間を費やしたもんだ。

写真は全て家内が撮影。

世界一美しいクーペから世界一カッコいいセダンへ [車の売買 後篇] に続く
2012年03月23日(金) No.12 (車(マセラティ・クアトロポルテ、他))
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