改造内容と走行フィーリングについて簡単に書きます。
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ホイールベースをちょうど1m延長、内部中央左側にロント用シートを後ろ向きに
1脚追加、後席と対面式にしています。 |
その右側は冷蔵庫やビデオデッキなどがビルトインされたキャビネットになって
いて、その天板上には10インチ程度の液晶テレビが備えられています。 |
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モノコックボディの改造方法は、まず、十分大きな断面の鋼製角パイプでラダー
型の治具(上図参照:主構造体の上にボディ後半用の小型構造体が乗っていて、
それがスライドする)を作り、これにモノコックのフロアパネルで取り付け、
モノコックボディを前席直後で切断、ボディ後半を1m後方に移動し、ウェスト
ラインがきれいにつながるようにするために数十mm 持ち上げた状態でセット
して、その状態でモノコックを切断。 |
ボディ後半を数十mm持ち上げた分でフロア後半を2重構造にし、角パイプや
鋼板を使って十分な補強を入れる。 |
サイドシル、ルーフサイドなどとともに十分な補強を入れ(上図参照)、
剛性を確保する。 |
ルーフ、フロントドア、センターピラー、各種スティフナー類を部品で購入し、
必要な修正と十分な補強を施して、切断したモノコック前後間を板金で滑らか
につなげる。 |
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延長した部分のサイドウインドーはクレイ(工業デザイン用粘土)を使って
1次マスター型を作り、それを石膏で型取りし、そこから2次マスターを石膏で
作り、専門の業者にて強化ガラスを成形(JISマーク入り)。それをガラス用
強力接着剤でボディに接着。 |
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4WDですからプロペラシャフトの延長も必要なので、これも量産品をパーツで
購入し、延長部分にジョイントとマウントを追加し、インローを旋盤加工で
作り、ノーマル部品と結合しました。ジョイントを追加したのは、ノーマル
よりもジョイント間が長くなる部分が無いように(保障出来る強度がノーマル
以下にならないように)する為です。バランス取りも専門の業者で行いました。
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サスペンションは車重に見合うと思われるダンピングレートとスプリングレート
のものを数種類特注し、テスト走行で最適なものを選定して装着しました。 |
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ブレーキは重量増に対応してフロントにブレンボの4ポッドキャリパーを装着。 |
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出来上がったボディは、入念な設計と、製作にあたったメカニックの高い
スキルによって、非常に剛性の高いものになりました。
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ひずみ試験(車検取得に必要な試験)における、試験官のコメントは、
“非常にいい数値です。ほとんど歪んでいないと言えるくらいで、少し前の
スカイラインのノーマルよりも強度があるくらいです。” というもので、
この結果は予想を大きく超えるもので、大変嬉しく思い、安心しました。
懸念された重量はノーマル+300Kg程度で、これは設計時の
計算値と
ほぼ一致しました。 |
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テスト走行時には、専用品にしたサスペンションがスプリングの線間接触を
起こすなど、いくつかの気になる点がありましたが、何度もテスト走行を
繰り返して、最終的には車高と乗り心地のバランスのいいところにまとめ
られました。 |
リムジンというイメージからすると、かなり硬めのフィーリングですが、
引き締まった心地よいものです。 |
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フロントにブレンボの4ポッドキャリパーを装着したブレーキも、キャリパーに
合わせてオイルラインも高剛性のものに換えたりしたため、ブレーキペダルの
ストロークが極めて短く、ガチっとして剛性感あふれる、とてもフィーリング
のいいものになりました。 |
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心配していた取りまわし性に関しては、さすがに狭い路地では最初気を使い
ましたが、普通の道路を走る分には、ほとんど何も問題ありませんでした。
むしろ、初めてトラックや1Box(フロントタイヤよりも運転席が前にある
ような車)を運転する時よりよほど普通で、リラックスして運転できました。 |
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納車時や、その後の補修のために、雨の高速を何回か自走(私自身が運転)
しました。雨の高速をこういう車で自走するのは正直不安も大きかったの
ですが…、ベース車はもともと日本を代表するオンロード4WDで、高速直進
安定性のいい車ですし、ホイールベースの大幅延長と重量増(しかも比較的
低い位置に補強が集中)、そして剛性も十分確保されているので、その良さが
更に強調され、極めて安心感のある運転感覚でした。走る前の不安がウソの
ように“雨の高速はこれに限るな!”などと思えるくらいで、いいものが出来て
良かったと思いました。(ちょっと大げさというか、おめでたいというか…) |
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ただ残念なことに、工期の問題でルーフまわりの製法に無理があり、経時変化
で表面に変形が出たり、内部に設えた冷蔵庫などの電装系に問題が出たりと、
初回納車後も何回か補修が必要でお客様にはご迷惑をおかけしてしまいました。 |