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アルミからクロモリ (フレームの材質)



想定していたアルミ角パイプを主体にしたフレーム構造ではどうしても
狙った剛性が出ないので、材質と構成をもう少し考えたいとの連絡が入り、
こちらはその間に細部の造形の再検討を行うことにしました。

アルミの角パイプ(と丸パイプ)を主体に溶接構造でスペースフレーム
(部分的にトラスフレーム)を作ろうとしていたのですが、溶接可能な
材質だとアルミ自体が柔らかく、思うような剛性が出ないそうで、
それではせっかく作っても…ということです。 参考にしたロータスの
フレームなども、やはり納得のいくような剛性ではないとのことです。
硬いアルミは溶接が難しいので、ロータスなどが接着材を使うのは
そういう理由もあるのかなと思いましたが、そのロータスもそういう
面ではある程度割り切っているようです。まぁ、見るからに、それほど
剛性が高そうには見えないフレームではありますが…。

このアルミの接着、何だかちょっと恐いというか、信用できないような
気がするのですが、かつてあるプロジェクトで私も使った事があり、
想像していたよりもはるかに強い接着力で驚いたことがあります。
接着したテストピースを思い切りハンマーで叩いてみましたがびくともしません。
というか、接着した箇所はがっちりついたまま、叩くたびに他の部分が
どんどん曲がってしまい、こんなに強いものなのかとなかばあきれ、ww
大変感心しました。
溶接の場合、基本的に素材同士が接する接合線(の表面側)だけを
部分的に溶かしてつけるわけですが、接着の場合、素材の面同士を
べったりとつけるわけで、その面積が大きいと非常に有効なようです。
(実際には接着材だけでなく、位置決めの意味もあってリベットなど併用)

そういう接着剤が世の中にはあるのですが、とりあえずそれはそれとして
今回は溶接で行くということですので、となると必然的にスチール、
クロモリということになるかと思います。最近の流れからすると退化というか
古臭い手法のようなイメージがあるかと思いますが、私は個人的には
嫌いではありません。今回のような作り方をする場合、一番自由度が高く、
何より安心です。

金属同士で比べると、材質による重量剛性比って実はそれほど違いは無く、
単純にスチールのものをアルミに置き換えただけではメリットは出ません。
軽い分やわらかいので、厚く大きくしないと同じ剛性が得られません。
断面形状を工夫して荷重に対して有利なものにしないとダメです。
それでも、基本的にスチールよりは肉厚で、断面も大きくなりますので、
スペース的には不利なことはいなめません。

今回の車のような、現代のレーシングカー風な構成を真面目に考えると、
フロントサスペンション、空力、重量配分、ドライビングポジションなどの
兼ね合いでフットスペース(ペダルまわり)がかなり窮屈なものになる
(実際のところ、相当がんばっても何かしら犠牲になる。)のですが、
アルミパイプでフレームを構成すると、その大きな断面から、どうしても
ここが広がりがちで…、いろんな意味で不満なものになりかねないので、
ここのフレームワークを少しでもタイトに出来るスチールは、私にとっては
むしろありがたいです。

フレームワークは今回のプロジェクトでは私が担当するものではないので
(スタイリングに関わる部分や、各パネルとの接合部、開閉可動部などの
設計は行う)、このタイミングでスタイリングの再検討を行う時間がとれるのは
私にとっては好都合です。
何とか出来上がって、そのまま時間が無いので突っ走るしかない…、
みたいな仕事が多いので、いつもこういう時間が欲しいなと思っていました。
すごく大事な時間なので、大切に使いたいです。





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2012年09月24日(月) No.202 (ミッドシップ スーパースポーツ IF-02RDS)
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